●PARIS-2区 The French Bastards(ザ フレンチバスターズ)Saint-Denis(サンドニ店)

 当たり前のようだが、パリには数多くのパン屋がある。いつでもどこでも買おうと思えば、ほんの数百メートルの間でいくつもバゲットを買うことができる。
 とはいえ、美味しいバゲット、好みのバゲットが食べたいと思えば、話は違う。「しっかり焼けてるのをね!」とか「あんまり焼けてないやつを!」と焼き具合を指定して買う人も多いが、そもそも好きなバゲットかどうかが大問題。

 人気の店が美味しいとは限らないし、バゲットコンクール入賞店が必ずしも美味しいとも思わない。逆に、美味しいなと思ってもとても遠い店だったり、美味しいけれども好みではないとか、美味しいけど毎日は食べたくないとか。。。
 米と違って自分で好みの銘柄を手に入れて好きなように炊くことができない分、「好きなバゲットを日常的に食べる」のは難題ではないかと思う。

ザ・フレンチバスターズの甘いパン

 そんなバゲットジプシー生活の中、偶然出会ったザ・フレンチバスターズ。ここのBaguette Batarde(バゲットバタード)を最初に口に入れた時の「香りの良さ、旨味がじんわり染み出す喜び」は、何度食べても変わらない。食べれば食べるほど、しみじみ美味しいなぁと思う。
 →出会った時のエピソードは「フレンチバスターズ本店」の紹介記事をご覧ください。
 そのザ・フレンチバスターズが近所とはいわないが、歩いていける範囲にあってよかったと、パリ11区まで足繁く通っていた。

 ある日、ごく近所のパン屋が工事をしていたので「ああ、またか。次はどんなパン屋だろうか。」と、あまり期待せずに工事の様子を眺めていた。
 居抜き物件という経済的戦略とは違うけれども、フランスは商用の不動産には営業権がセットになっていることが多く、パン屋の後にはパン屋ができることが多い。この場所も近所に住み始めて2年とたたないうちに3回もパン屋が入れ替わっている。前のパン屋は名前さえ知らなかったな。Bioのパンとヘルシーなサラダ・・・というコンセプトはよかったが、どうにも活気がなく、味もぱっとしなかったので仕方がないか。
 そんな場所なので、次にできるパン屋には大きな期待はしていなかった。出来上がった店はパン屋っぽくなく、あれ?カフェに変わったのかな?と素通りしかけた。ところが、店のドアに見覚えのある文字、
   The French Bastards ・・・ !!!
  出来上がったのは「ザ・フレンチバスターズ2号店だったのだ。この時の私の驚きと喜び。片想いの彼(彼女)が、突然自分の会社に転職してきたらこんな感じだろうか。

 それからは当然近所のザ・フレンチバスターズに通う、通う。今日は家にまだパンがある・・という日も、毎日のように店の前を通るので、つい立ち寄ってしまう。もうすぐ家なのに、歩きながらかじり出す・・・というルーティーンが出来上がった。

 しかし何度食べてもこのバゲットは美味い。美味くて健康。値段も普通。毎日開いてる最高じゃないですか。とつぶやくのもいつものお決まりになってしまった。
 (フレンチバスターズ・サンドニ店は、開店した2020年は定休日なしの毎日営業でしたが、2021年の1月から日曜日が定休日になりました。)

ザ・フレンチバスターズのバゲットの棚

バゲットの焼き具合を指定するフランス語

バゲットを購入する時は、ボンジュー!!と挨拶して

Une baguette, s’il vous plaît.(ユゥンヌバゲットシルブプレ)
  =バゲットを1本ください

もしくは
une (baguette) tradition ,s’il vous plait.(ユゥンヌトラディションシルブプレ)
  =バゲットトラディショネルをください(長時間発酵の方。バゲットコンクールに出されるのはこちらなので、受賞店で買うならはトラディションを買ってください。

 と言えばOK。焼き具合を指定したいならば、

une tradition bien cuite ,s’il vous plait.(ユゥンヌトラディション ビアンキュイ シルブプレ)

 =よく焼けてるトラディションをください。
 とトラディションの後に bien cuite(ビアンキュイ=よく焼けているもの)か pas trop cuite(パトロキュイ=あまり焼きすぎていないもの)を入れればいい。

ザ・フレンチバスターズの具沢山サンドイッチ
ここのパンもサンドイッチも本当に良心的。新鮮な具材をたっぷり使っている。

++ Information ++

The French Bastards(ザ フレンチバスターズ)Saint-Denis(サンドニ店)
https://thefrenchbastards.fr/

[Open / 営業日時 ]
月曜日〜金曜日 8:00 am-20:00 pm
土曜日     8:30 am-19:30 pm
日曜日     定休日

[Adresse / 場所 ]
181 rue Saint-Denis, 75002 Paris FRANCE

[GoogleMap / グーグルマップ ]
https://goo.gl/maps/ZY9y2CQ9wPteBuo46

2020年私が最も食べたバゲット。
バゲットバタード、じっくりご覧ください。

 ザ・フレンチバスターズのBaguette Batarde(バゲットバタード)。ライ麦粉Bioとデミコンプレ(全粒粉)Bioのバゲット。

 非精製粉のバゲットなのに美しい。かといって見た目重視で水分量少なめの硬いパンではなく、味も秀逸。
 クラスト(外皮)はバリっと香ばしく焼けていて、生地全体のひき(強さ&弾力)は強め。皮はやや厚めだが、口に入れると全体の生地を受け止めてうまくほぐれるのでバランスがいい。
 クラム(パンの中身)は、綺麗な気泡が大小まざりあって美しい。酸味のある発酵臭。粉がしっかりと吸水しているのでむちっとぷりっとした食感もあるが軽め。口溶けがよくて粉のいい香りと共にふわーんとなくなる。

 パンの感想を書き留めていたノートには上記のように書かれていた。その後も何本も食べたが、今も上記の感想と変わらない。皮も中身も個性的で旨味がたっぷり。生地の旨味や甘味を力強い皮の香ばしさが包んでいて、要するに「ただ単に美味しい」バゲット。
 味よし、匂いよし、見た目よし、使用している素材も安心。何拍子も揃った感心のバゲット。毎日これをたべんと何食べんねん!と今日もまた買ってきた。

ザ・フレンチバスターズの数あるカンパーニュ系から。
オーツ麦&クランベリーカンパーニュはこちら。

 ザ・フレンチバスターズには、サンドイッチやヴィエノワズリー(甘いパン)類、バゲットの他にカンパーニュ(田舎パン)系の計り売りのパンがある。プレーンなカンパーニュ、古代小麦(petit épeautre)、くるみ、炭&胡麻、オレンジピール&芥子の実、オーツ&クランベリーなどの定番に、冬にはいちじく&蜂蜜、ライ麦レーズンなどもある。とにかく材料がいい。新鮮で美味しい素材をふんだんに使っているのでナッツやドライフルーツがずしっと入って相当良心的。生地はやや重ため。あとスライスはしてくれないので自分で頑張って切る必要がある。

ザ・フレンチバスターズ本店オベルカンフの紹介はこちら。

ザ・フレンチバスターズのいちじくカンパーニュ
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