クリスマスはフランス人が情熱を注ぐ大切な日。
「12月25日からお正月までしっかり休みます」という店が一般的。2020年は 12/25(金)〜1/3(日)という暦だったので、25日から休んで1/4〜営業再開というパン屋さんが多かった。
パン喰いにとってパン屋さんの休みは死活問題・・・。もちろん必ずどこかのパン屋さんは開いているし、スーパーでもバゲットは買える。「美味しいパン」「好みのパン」を食べたい、という欲求が満たせなくなるだけ。
休みの間くらい適当に過ごせば・・と言われればそれまでだけど、せっかくのクリスマスや新年にどうでもいいパンを食べて過ごすのは辛い。
クリスマスの前から入念にお気に入りのパン屋の営業日程を調べ、何日にどこで何を買うかを決めて、美味しいクリスマス&お正月をすごそうと決めていた。年末まではほぼ予定通り。あとは年明けの営業開始日を今かいまかと待った。
現在、私のパン・オ・ルヴァンランキングぶっちぎり1位のTen Belles Bread(テンベルブレッド)。休み明けの1月4日はここのパンを買うと決めていた。
やっと辿り着いた。口の中は、テンベルブレッドのパンの匂いを思い出して、涎でいっぱい。
ないっっっ!!!
見事なほどにすっからかんのショーケース。
「問題があって今日のパンはもうおわり。また明日ね。」
こうなると、意地でも食べたくなるのが人間の性。当然、翌日に出直す。
前日は15時に振られてるから、今度は午前中に行く。
ないっっっっ!!!(再)
また明日ね!の言葉を信じて翌日に来たけど、今日のショーケースにも Pain du Jourはない。 ・・・・・・いや、待て。
ラックに今日のパン&トラディショネルと思われるものがあるではないか。
しれっと注文してみよう。
「今日のパンください。」
「もうないの。」
「え? そこのラックにあるけど?」
「技術的な問題でちょっとしか焼けなかったから、
あれは予約の分。もうライ麦パンしかないのよ。」
この黒い型入れのパン。ライ麦パンと書かれている。普通の「ライ麦パン」というより、「パンバイキング(Pain Viking ※フランス語読みだと「パンビキング」)という名前で売られているタイプ。決してパン食べ放題の意味ではない。
健康志向の人に向けて、北欧の黒パンをイメージしたパンの総称のようで、Pain nordique(パンノルディック/北欧パン)・Pain noir(パンノワール/黒パン)・Pain suédois(パンスウェドワ/スウェーデンパン)と呼ばれる時もある。
ライ麦パンは大好きだけど、この黒パン系は焙煎した大麦粉の味がきつく、穀類をそのまま口に入れられてる気分になるので、あまり好きではない。
しかし「二日連続、手ぶらで帰るもんか」という意地があり、半分だけ購入。
家に戻って包みを開く。正月早々2回も振られて、あまり好みではないパンを買ってしまった。半分で6.02€。こじんまりして、ややお高め印象。テンベルブレッド、安定の強気価格設定である。
苦手なんだけどな、と思いながら一口。
おや、美味しい。
黒パン系は、前述の通り焙煎した粉の匂いが気になって、そのままだと好きではない。サーモンとかチーズにあわせると美味しいなと思う時もあるのでサンドイッチ向きのパンという印象。
このテンベルブレッドの黒パンは、苦手な焙煎粉の匂いはほとんどなくて、香ばしいグレン(Grain/ひまわりの種などの小さなナッツとか亜麻仁や胡麻などの雑穀)の香りと、ほのかな発酵臭と酸味があって、なかなか美味しかった。サラサン(蕎麦)の味もするんだけど、蕎麦粉が入ってるのだろうか。
重量はグレン多めでずっしり、粉もグレンも新鮮な香りなので、そう思うと妥当な値段だったのかも。
しかし、二日連続で振られたテンベルブレッドのバンオルヴァン。ますます食べたくなってきた。次はいつチャレンジしようか。
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